仕事に臨む際に重要なのは「行間」だと考えています。
行間とは文書の行と行の間のことで、もちろん行間には何も書いてはありません。
しかし、この「行間」こそ、重要だと考えています。
仕事では、皆さんの考えや思いを資料にまとめます。その目的はお客様や上司、部下など自分以外の人に情報を伝えるために作成するコミュニケーション媒体です。
つまり、自分の考えや思いを読み手に伝えることが目的の文書です。
行間とは、こうした資料に記載してない情報のことです。
自分の考えや思いをすべて文書に表現することは困難です。
また、その必要もありません。その訳は、書きすぎても読み手に伝わらないからです。
読み手に伝わりやすくするために、表現する情報をあえて削ることが大切です。この削った情報が行間情報です。つまり、意図的に行間に伏せた情報です。
ところが、目にする文書(メールなども含む)の中には、行間情報を含まないただの行間しかないものがよくあります。
皆さんが書かれる文章や資料はいかがでしょうか。
書かれた文章や資料に行間情報がどれだけあるかを確認する方法は1つです。
それについて「なぜ」という質問を繰り返せばいいのです。
「なぜ」に対する回答が適切にできるようであれば行間情報が含まれた文章であることになります。
行間情報のために重要なのは、「先読み」と「深掘り」です。
先読みとは、辞書的には、これから起こる可能性のある事象を予測することですが、ここでいう先読みとはスケジュール管理のことで、ゴールするまでの作業をどんな順序で、いつ実施したらいいのか、その際のリスクは何かといったものです。
深掘りとは、辞書的には、深く追求することですが、ここでいう深掘りとは対象とした仕事の品質管理のことで、完成するまでの作業や成果物の品質(方向性、内容、書き方、品質を高めるためのタスクなど)をできるだけ読み切ることです。
自分だけで出来ない場合は、組織的に先読みと深掘りを進めることが不可欠です。
不幸なプロジェクトはこの先読みと深掘りができていません。
仕事ができると言われる人は、常にこの2つを意識し行動しています。
プレゼンなどの際は、特にこの2つを備えて臨んでいるか、なくて臨んでいるかで説得力に大きな差が生まれます。また、質疑応答の際にも大きな差が生まれます。
先読みするために私のやり方の基本はゴールからの逆線表です。明日がゴールとしたときに何が揃っていなければならないかを考えることです。ゴールまでに揃えるものを準備するために、更にいつまでに何をするかを考えながらタスクを洗い出し、順序を決めていきます。こうすることでゴール間近の作業には余裕が生まれ、直近の作業には前掛かりの負荷が生じます。こうしながらスケジュール上の課題を顕在化させます。このプロセスの中で先読みによる行間情報が詰まって行くのです。
深掘りするためには、対象の仕事に関する知識が必要です。そしてこの知識も作文的な書き方での知識整理や箇条書き的な知識整理ではなく、対象の仕事について、幹・根・枝・葉を仕分けることです。そのためには、多軸的な見方が必要です。
例えば、その仕事について「扱う物やマスタ情報など静的な情報による違い」、「プロセスによる違い(基本プロセス・派生プロセス・逆行プロセス・変更訂正プロセス)」「発生イベントなど動的な情報による違い」、「イベントの発生タイミングによる違い」の4つの目線で分析します。この分析のプロセスの中での深掘りができ行間情報が詰まっていきます。