Vol.028「仕事は行間こそ重要。行間を詰めよ!」の中で、行間を埋めるために「深掘り」が大切であると書きました。購買業務を例に深掘りテクニックについて深掘りします。
この仕事について「扱う物やマスタ情報など静的な情報による違い」、「プロセスによる違い(基本プロセス・派生プロセス・逆行プロセス・変更訂正プロセス)」「発生イベントなど動的な情報による違い」、「イベントの発生タイミングによる違い」の4つの目線が必要だと書きました。
まずはプロセスについてです。

  1. 購買業務の基本プロセスの確認
    どんな業務においても、基本プロセスを考える場合に重要なのは、どんな登場人物がいるかです。これは知識も重要ですが、身近なことからの想像力も必要です。
    購買業務においてはどんな登場人物がいるでしょうか。皆さんが家族から「◯◯」を買って欲しいと頼まれたとしましょう。その時、皆さんがインターネットで注文したとします。代金は受け取り後の振込としましょう。・物が欲しいと思った人
    ・欲しい人に欲しいもの、欲しい数、希望納期、希望価格などを確認する人
    ・購入先や価格、納期を調べ、どれにするかを確認する人(自分)
    ・購入するものについて了解する人(お金を管理している家族)
    ・了解してもらったものを注文する人
    ・注文を受け付ける人(注文する先の窓口)
    ・注文されたものを出荷する準備をする人
    ・商品を皆さんの家まで届ける人
    ・注文したものかを確認し、受領書にサインし、商品と納品書・請求書を受け取る人
    ・受け取った商品が壊れていないかを確認する人
    ・請求書にしたがって振込をする人
    登場人物は11人もいますが、これが基本プロセスです。基本プロセスは何のトラブルもなく欲しいと思ってから物が届き、支払が完了するまでの流れのことです。
  2. 購買業務の派生プロセスの確認
    これに対して派生プロセスというものがあります。派生プロセスとは、基本プロセス通りにいかないトラブル時の対応プロセスのことです。(1)逆行プロセスの確認
    1つめのトラブルは、通常は注文先から欲しい人に向かって物は移動しますが、これと逆のものの流れがあります。逆行プロセスといいます。このケースでは届けてもらったものが、不良だったり、思ったものと違ったりして注文先に返品する場合のプロセスです。この場合に重要なのは、どこの時点で返品することになったかです。そのタイミングをすべて洗い出し、流れを考えるのです。
    ・受領時に注文したものと違うことに気づいた場合
    ・受け取った商品を開封して確認したときに気づいた場合
    ・実際に使う際に気づいた場合(ただし、代金を支払い前)
    ・実際に使う際に気づいた場合(ただし、代金を支払い後)

    (2)訂正プロセスの確認
    次に、訂正プロセスといって処理を間違えた場合の対応です。これについては何を間違えた場合かを考えます。このときのコツは、基本プロセスのすべての手順の中で訂正が生じるのかを1つずつ漏れなく確認することです。
    ・依頼内容の誤り(商品の誤り)
    ・依頼内容の誤り(数量の誤り)
    ・依頼内容の誤り(希望納期の誤り)
    ・注文内容の誤り(商品の誤り)
    ・注文内容の誤り(数量の誤り)
    ・注文内容の誤り(単価の誤り)
    ・受領時の誤り(商品受け取り時に間違っているのに気づかず受領印を押してしまった)
    ・開封時の確認においてちゃんと確認せず不良に気づかなかった
    ・振込金額を間違った

    (3)変更プロセスの確認
    最後は変更プロセスです。この対応は訂正プロセスに似ていますが、意思を持って変えることが訂正プロセスとの違いで、このケースでは次の例が考えられます。この場合も基本プロセスのすべての手順の中で訂正が生じるのかを1つずつ漏れなく確認することです。
    ・依頼内容の誤り(商品の変更)
    ・依頼内容の誤り(数量の変更)
    ・依頼内容の誤り(希望納期の変更)
    ・注文内容の誤り(商品の変更)
    ・注文内容の誤り(数量の変更)
    ・注文内容の誤り(単価の変更)

  3. 買う物の違い
    プロセスの洗い出しができたらそのプロセスを通過して買う物の違いです。買う物が違うことで買い方(基本プロセス)にも変化が生じます。つまり、買い方の違いを洗い出すために、買う物を想像しながら基本プロセスの違いを洗い出すのです。
    ・単価目線での違い(高額なものの買い方と安価なものの買い方)
    ・数量目線での違い(大量購入の買い方と少量・単品での買い方)
    ・納期目線での違い(急がない場合の買い方と急ぐ場合の買い方)
    ・購入する物の違い(消耗品の補充方式での買い方と高価なもののスポット購入)
    ・購入する物の違い(生鮮品、保存可能だが消費期限があるもの、特に期限のないもの)
    ・購入先の違い(国内で買う場合と海外から調達する場合)深掘りはこのようにして進めます。このときに重要なテクニックは、あり得るケースを探すよりはあり得ないケースを削除していくことが漏れ防止に繋がります。あり得ないケースの洗い出しのためには、上記のようにプロセスを網羅的に洗い出すことが重要なのです。トライしてみてください。

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