「知識」は少ないより多い方がいいとは思いますが、知識を習得しただけでは、倉庫に原材料在庫を増やしたのと同じで、それだけでは意味がありません。やはり、在庫は付加価値(加工)を付けて製品として出荷することで企業経営が成り立つのと同じで、「知識」を使って「知恵」を出すことが大切です。その意味では「知恵」は製造業で言うところの付加価値作業にあたります。
つまり、「知識」は「在庫」であり、「知恵」は「付加価値」だと考えます。
さらに、この知恵を行動に変える「改善」という実践を繰り返すと、この実践という「経験」により「知識」が磨かれていきます。特に失敗体験はより肉厚の知識を得ることになります。
しかし、失敗したら誰でも「知識」が磨かれる訳ではありません。
失敗しても「喉元すぎれば・・」的に、失敗自体を省みることなく忘れ去れば新たな知識は生まれません。
また、最初の行動の際に「知恵」を出さずに始めると、失敗しても成功しても省みることが難しいと考えます。最初の知恵出しの際に「方法」など進め方を考え、失敗や成功の経験をこの方法の見直し活かすことが不可欠だと考えます。
また、倉庫に在庫に在庫を収める際に、大切なのは出庫する時のし易さです。見つけ易さや出し易さのことです。こうした工夫は、人間の知識習得においても同じではないでしょうか。
知識を引き出しやすくするためには、知識の体系化が重要です。体系化することで知識に多くのラベルを付けることになります。また、最初はバラバラだった知識と知識も紐付くことになり、1つの知識を見つければ、芋づる式に関連する知識を引き出されます。
自分の得た知識を、復習などの「振り返り作業」により体系化されることをお薦めします。一度体系化されると、関連する知識は容易に記憶され、引き出すことも容易になります。
ところが、組織や人間にはこの知恵出しを阻害するものがいくつかあります。
その代表格は「常識」や「固定観念」です。
成功体験が続くと真の知恵出しをせず「答え」を出すのが人間です。
この「常識」や「固定観念」はベテランほど強固に固まります。自分の経験や成功体験の多さ真の知恵出しを阻むことになります。
特に、実践から長く離れた上司など管理監督者の「常識」や「固定観念」は要注意です。
こうした人は、前例主義に陥りやすく、いい意味では行動が慎重なのですが、変化の多い時代や常に多様な意思決定を求められる場面などでは阻害要因になります。「常識」や「固定観念」に凝り固まった経験者は1つ間違うと道を塞ぐ大きな岩石になってしまいます。
こうならないためには、Whyを5回繰り返す改善の5W1Hが不可欠です。
改善5W1Hに重要なのは、自分の出した解を最低5回は否定することです。