第三弾はプロジェクト管理における進捗管理について、改善活動的見方・真因追究の考え方に沿ってお話します。
1.問題認識(改善活動のスタートは問題認識です)
プロジェクトにおける進捗会議のあり方には問題認識を持たれる方が多くいらっしゃいます。改善は問題認識を持つことが始まりです。まず、気づきはOKですね。
(よく見る進捗会議)週に1回の定例会の例
- 関係者を全員招集(進捗チェックされる人は全員)
- リーダは事前に報告資料をPPTなどでまとめ参加
- 各リーダはPPTで報告(報告書式や記載ミスがあるとその場でみんなが指摘)
- 次に課題一覧をプロジェクターに写し全員で棚卸(課題内容の説明から・・課題検討まで)
この会議の場合で2時間から3時間はかかります。参加者は20名程度。
さて、何が問題でしょう。
2.放置結果の予測(この課題を改善せずにいた場合の影響)
問題認識は病気で言えば初期症状です。初期症状はたまに表れ、すぐ消えます。しかし、たまに表れる初期症状を放置した場合病気は悪化し致命傷になる場合があります。そう考えた場合この問題は一過性の問題でしょうか。
私は一過性ではなく、致命的な慢性病になる問題だと考えます。
プロジェクト会議や進捗会議に何人もの人が参加します。工数にすると決して小さいものではありません。管理のあり方は大きなムダ取りにもなるものと確信します。
事例1:平均5名で10ヶ月のプロジェクトだったとすると
参加者:5名×1時間×4週×10ヶ月=200時間(25人日)
事例2: 開発期間2ヶ月、5名で開発。毎日1時間
参加者:5名× 1時間×40日=200時間(25人日)
3.あるべき姿研究(価値とムダを考える )
あるべき姿を考える場合、簡単な方法があります。
その方法は「全否定」です。この場合の全否定とは「プロジェクト管理」や「進捗管理」などは「無意味だ」という見方です。「無意味だ」といえば「そんなことはない」という自分が現れます。その自分に「何が困るのか」を聞いてみることです。
困るこという意見が出そうなこと・・・
- 進捗が見えなくなる
- 進捗遅れの対策検討ができなくなる
- 進捗遅れに潜む問題が見えなくなる
- 問題の共有ができなくなる
4.進捗管理に関する持論紹介
進捗管理は究極的にはムダ作業です。したがって、いかに「管理品質を向上しつつ、管理工数を削減すべき」だと考えています。
(進捗会議ではなく) 進捗管理において最も重要なのは以下の5点だと考えます。
1)個人別・タスク別の計画が一元化されていること(個人のスケジュールは基本的に本人が自ら立てることが重要です)
2)各自が 常に 作業納期を自覚し、作業していること(自分で立てることで自覚は生まれます)
3)遅れそうになったら自ら(報告ではなく)問題を相談する習慣をつけること(進捗遅れが問題だけでなく「遅れそうだ」と思った場合に、すぐ相談したり、対策を自ら立てることが重要です)
ただし、自ら報告できる人は問題は起こしません。
気づかすまた気づいても自ら報告できない人がいます。
管理はこうした人をフォローすることが重要です。フォローとは以下の3つです。
- 毎日声を掛け顔色を見ながら「順調?」などと聞いてみる。順調出ない場合は様子が違います
- 違えばそれを聞き出す
- 気づきを誘発するために、遅れる前に報告したら褒める
遅れる人のパターンは大別すると以下の3つで、それぞれ対策はことなります。
- 仕事を進める上で知識や経験が少ない人
(対策)知らない知識を教える。また、アドバイザーを付ける - 知識や経験はあるがいろんなことが気になり仕事に集中できない人
(対策)集中できるように環境を工夫する - 割り込み仕事が多くどれも手が付かない状態の人
(対策)仕事の棚卸方法を教える。すぐ終わりそうな仕事を付いて終わるようにフォロー
4) 進捗遅れは同時多発的には発生しないため、遅れた人には個別指導
進捗遅れなどの有無は日々チェック。フォローは個別指導です。
そのため早期発見・早期対処が可能になり管理品質は大幅に向上します。
個別指導で重要なのは作業が完了したときの「成功体験」を感じてもらうことです。
このためのポイントは以下の3つです。
・各自がスケジュールを立案する
・遅れそうな気がしたら対策を自ら考えリーダに相談する
・作業が溢れそうになったらタスクを棚卸する(とにかく減らす)
最後に、終わったタスクを「消す」これが満足感の引き金になります。
5)進捗会議は課題管理に変化
週に一回程度の会議は、進捗的な会話は最小限にし、課題検討会などに変化します。
重要などは日々の「声掛け」と「状況別フォロー」により「自立的な進捗管理」を身に付けて貰えればプロジェクトは必ず成功します。