働き方改革について世の中も会社も騒がしい
今朝の新聞にも「長時間労働により心筋梗塞リスクが高まる」という記事が載っていた
この記事を読むとあたかも「長期間労働⇒心筋梗塞リスク上昇」と思われるが、よく読むと「長時間労働⇒ストレス上昇⇒心筋梗塞リスク上昇」です。
長期間働いたからといってストレスが上昇するとは限りません。長時間でも、能動的に楽しく働いたり、好きな仕事をしていたりしたら、おそらくストレスは少ないと考えられます。つまり、働き方改革で大切なのは「長時間労働の抑制」ではないはずです。
ただ、時間を抑制しただけでは、真の問題を地下に潜らせてしまうのではないかと危惧します。
「国も会社も何日以上休め。何時間以上は仕事をさせるな」です。
この手段の1つだけが目的化していることがとても気がかりです。

日本の労働生生産性は先進諸国で最低と言われています。
こんなにみんな頑張って働いているのにと思いませんか。
生産性は「付加価値÷人数(又は総時間)」です。時間を抑制すれば付加価値が上がるだろうという安易な発想だとしか思えません。確かに、製造業のように標準作業が明確になり、その標準作業にしたがって、作業を進め製品が産み出され、それが付加価値に繋がります。したがって、作業を改善し作業時間を減らすことで生産性は向上します。

しかし、IT業界はどうでしょうか。
標準時間も何もない世界です。ただただ時間を抑制して生産性が向上するのでしょうか。
はなはだ疑問ですが、IT業界における付加価値とは、生産性とは、働き方とはなどを考えるきっかけにすべきではないでしょうか。
そもそも、我々は会社や客先にいるだけでお金がもらえる成果が長く続いてきました。いわゆる人工(にんく)仕事で、受託開発型のIT業界がまさにこのスタイルです。

国が謳っている目指す社会
1)誰もが生きがいを持って、その能力を 有効に発揮すること ができる社会
2)多様な働き方を可能とし、自分の未来を 自ら創ることができる社会
3)意欲ある人々に多様なチャンスを生み出し、企業の生産性・収益力の向上が図られる社会です。

しかし、現在は本来の目指す姿ではなく、時短が目標のように私は思います。
時短は結果であって、目指すは「生き甲斐ある仕事・生き甲斐ある人生」です
そして、その結果が「生産性向上」です。

確かに時短や年俸制(実労働時間の地下化)は1つの対策だとは思います。
私が考える大きな施策は次の2つです。
・生産性向上施策
・仕事を楽しむ施策

最初の施策を進めるにあたり、必要な作戦を考えてみました。

施策1 仕事量の確保と目標稼働率

生産性向上を目指す際には仕事量の確保は不可欠だが、適正な仕事量はあいまい。関西支店の仕事をこなせる能力(総稼働可能時間)に対して、100%稼働率の仕事量なのか、80%稼働の仕事量などかの基準が必要

施策2 実態の可視化
  1. 実態を常に把握できる仕掛け作り
    人時生産性の把握
    本社分など配賦されるコスト分は売上からも除外に直接部門の売上高を把握
  2. 各自の正味作業時間(地下分を含む)の把握
    ・付加価値時間
    ・非付加価値時間
    ・手待ち時間
  3. 対象組織の管理職分の作業時間も把握
  4. 実態の見える化
    ・働き方の実態把握
    ・生産性の実態把握
施策3 能力向上
  1. 高める対策
    現在担当する仕事の質・スキルを高める
  2. 深める対策
    現在担当する仕事に関する知識を深める
  3. 広げる対策(多能工化)
    どのように広がったか、広げようとしているか(方向性)の見える化
    ・担当開発工程を広げる
    ・担当業務を広げる
  4. 開発環境(言語やツールなど)を広げる
  5. 管理業務も受け持つように広げる

 

施策1はそれぞれの組織の中で考えるしかないのですが、施策2について、まずは、作戦を進めるに当り自分たちの仕事の実態把握が重要ではないかと考えました。
実態把握にあたり、その身の回りにある作業を作業要素ごとの時間を収集する必要があると思います。「いまを知る」活動です。どの作業が価値で、どの作業がムダなのか定義すること必要です。
そして、どの作業を改善するのかを考えるきっかけにしてはどうでしょうか。
評価するのかなどの判断はマネージメント方針だとうと考えますが、この作業要素がマネージメント層についても分析すべきです。
なぜかと言えば、マネージメント層の方が非付加価値作業を多く抱えているかからです。

■移動時間

業務時間内移動(非付加価値)
出社・帰社移動(非付加価値)

■作業会議(成果物を作成するための打合せ)

インタビュー(付加価値)
被インタビュー(付加価値)
議事録作成(付加価値)
レビュー(付加価値)
被レビュー(付加価値)
待機同席(非付加価値)
同席のみ非参加(非付加価値)

■管理会議(意思決定会議)における時間の質

コーディネーター(付加価値)
議題説明(付加価値)
議論(付加価値)
意思決定(付加価値)
同席(議論に参加しない人)(非付加価値)

■進捗会議における時間の質

議事進行(主催者)(非付加価値)
進捗報告(非付加価値)
進捗チェック(非付加価値)
進捗課題議論(非付加価値)
対策周知(非付加価値)
同席(議論に参加する必要のない順調な人の時間)(非付加価値)

■周知・連絡会議における時間の質

周知・連絡(非付加価値)
議事録作成(非付加価値)
質疑(非付加価値)

■いまの作業(成果物を作成するにあたっての作業)

調査(情報収集している時間)
分析(情報を整理・分析する時間)
検討(自分だけ考えている時間)
検討会議(方針を決めるために関係者で議論する会議)
・検討する時間
・同席する時間
相談会議(方針を決めるために知見者に相談する会議)
・相談する時間
・相談される時間
・同席する時間
決定(成果物に記載する内容について方針を決める)
成果物作成(初版作成までの時間)
成果物修正(完成後の手戻りや変更)
レビュー(作業会議参照)

■非作業時間

手待ち(作業指示がなく待機している時間)
リフレッシュタイム(集中できない時間)

■明日に向けた作業

提案活動
見積り作業
スキルアップや多能工化などを目指した勉強時間
部下との面談・相談
上司への相談

 

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