Vol.028「仕事は行間こそ重要。行間を詰めよ!」の中で、行間を埋めるために「先読み」が大切であると書きました。
先読みと聞くと、「経験がないと先読みなんてできないなぁ」と思われる方も多いことでしょう。もちろん、経験豊富な人ほど先読み力は高く、行間も埋まります。いや、埋まる可能性があると言えます。
経験があると言っても漫然と仕事をしていると経験は身につきません。
皆さんはどうですか?
仕事において先読みするということは、仕事のリスク対策です。手順が明確なルーチン型の仕事は別としてプロジェクト型の仕事においては、どんなに先読みしていても想定しきれないことは発生します。いわゆるヒヤリハットの連続と言ってもいいでしょう。
皆さんはどうですか?

ITプロジェクトにおいて、先読みする際に私のテクニックについてお話します。
最初に考えるは、本稼働前夜です。本稼働する際に、何が揃っていないといかないか考えます。例えば、揃っていないといけないものを挙げてみましょう

  • 使用するプログラム
  • プログラムを使用するためのロール(メニューやジョブ)
  • システム導入後の業務のあり方を記述した業務手順書(システム外の作業も含む)
  • 業務で使用するシステム機能の使い方(操作マニュアル)
  • 業務手順にしたがって業務を推進するためにトレーニングした作業者
  • システムを動かすために必要なマスタデータ
  • 本稼働直前の仕掛作業を新システム上で再現(トランザクションデータ)
  • 初期トラブルに備えた体制

次に、これらを揃えるための直前の作業内容、その作業日数を洗い出します。その例を示します。

  • 使用するプログラム
    この準備のためには、テスト環境のテスト済みのプログラムを本番環境に移送します。この移送までの手順や実施タイミングを日ベースで案を作ります。
  • 業務手順にしたがって業務を推進するためにトレーニングした作業者の育成(ユーザ教育)
    作業者育成のためにはユーザ教育を実施します。この際のユーザ教育カリキュラム案と日程案を考えます。その実施タイミングも考えます。そして、この実施前には教育するための環境とテキスト、教育を実施する講師が必要です。テキストは「業務手順書」と「操作マニュアル」です。
    環境のためには移行リハサール等も必要になります。また、自習期間(一般的には運用テスト期間)が必要になります。
    このように本稼働日から逆線表を引くのです。多くの人が引くスケジュールを見るといまから将来に向けて引かれています。この方法だと、本稼働する直前のスケジュールは曖昧になります。曖昧になると行間がなくなります。
    コツは、本稼働直前ほど細かく引くことが重要です。
    このようにスタートまでタスクを敷き詰めてきます。こうすると直前の仕事が窮屈になることがよくあります。これにより先読み上のプロジェクトリスクが直前のタスクとして現れます。是非試してみてください。

次に、一週間以上かかるような仕事を頼まれたとします。
こうした場合にも、先読みする際に私のテクニックがあります。これついてお話します。
まず、依頼された仕事の納期まで10日あったとします。こうした仕事は一般的にはルーチンではありません。そのため以下のようなリスクがあります。このリスクに対する対策を予め立てることが重要です。

  • 頼まれる仕事の結果が曖昧な場合が多いため、成果物が依頼者の思いと異なる場合が多い
  • 10日もあると途中で別の仕事が割り込む場合も多い
  • 成果物を100点と思ってもうっかりミスなどは必ずある
  • 成果物を見た際に依頼者がもっとより良いものにしたくなる場合も多い

これらはすべて作業遂行に対する障害(リスク)となります。
このリスクを回避するために、以下のように作業することにしています。

まず、納期までの10日間を2割・6割・8割のタイミングに日程割します。つまり、2日目、6日目、8日目のことです。

8日目を依頼された作業の納期と考えます。
その理由は、10日までの間をうっかりミスの修正やもっと良いものにしたくなる場合の時間に当てるためです。
次に、2日目は成果物の方向性について依頼者とディスカッションします。
2日目にこうしたイベントを設けることで成果物の方向性違いを防ぐことになります。
そのため、私はこのディスカッションまでに成果物の目次や各目次に対するイメージなどをできるだけたたき台として準備します。この2日にもっとも力を掛けます。

最後は6日目です。2日目のイメージディスカッションの結果を元に、目次の見直し、内容の充実を図り、この内容に関して6日目にレビューしてもらいます。
この手順で進めることで割り込みなどに対しても容易に対応できます。
是非、トライしてみてください。

2・6・8のタイミンでの作業推進することで、「【改善通信Vol.026】品質向上編Ⅳ~仕事の評価 スピード&タイミングこそ付加価値なり!~」で書いた、相対的品質が常に相手の期待値を上回るため、依頼者が安心していられるメリットもあるのです。

Follow me!