プロジェクトで失敗経験のある人へ
あなたはその失敗から何を学びましたか
そして、その学びを次の仕事に活かせましたか

失敗プロジェクトを統括する責任ある立場の人
失敗プロジェクトを経験した人
プロジェクト運営がうまくいってない人
これからプロジェクトをリーダーとして関わる人
などに「あなたの失敗プロジェクトの訳を1つだけ挙げてください」と伺うことがよくあります。そのときとても残念に思うことがあります。

多くの人が挙げたのは、「お客(普段は様をつけてメールする人でも様は付けません)がやるべきことをしなかったから(失敗の第一原因はお客様にあり)」という回答した人が多かったことです。たぶん、言われた人の真の思いは別だったのかもしれません。しかし、聞き手の私がそう思ったということは事実です。

なぜ失敗は起きた理由を考える前に、改めて「失敗とは何か」を考えてみましょう。
これはベンダー側が一般的に挙げる失敗基準ですが
・プロジェクトの納期」にあれば、失敗は「プロジェクトが納期遅れにならないこと
・プロジェクトの損益」にあれば、失敗は「プロジェクトが赤字になること
・システムの品質」にあれば、失敗は「要求取りの品質でないこと」
です。
これに対して、お客様の基準はどうでしょうか
・プロジェクトの納期」にあれば、失敗は「プロジェクトが納期遅れにならないこと
・プロジェクトの損益」にあれば、失敗は「プロジェクトが赤字になること
・システムの品質」にあれば、失敗は「要求取りの品質でないこと
で、一見まったく同じです。
プロジェクトの成否の基準が同じであれば、プロジェクトの成否の判断に違いはないはずです。

ところが、プロジェクト成否に関する認識は、ベンダーとお客様で全く違う場合があります。その違いについて考えてみましょう
1)納期について
納期ですが「稼働予定日」は共通認識です。間違いありません。
この予定日を守るためにマイルストーンを決め、WBSを洗い出し個々の納期を決めて管理します。このやり方も皆異論はないと思います。
2)予算について
予算ですが、顧客側の基準は、ベンダー側に予算(契約額+予備費)と社内費用の合計、ベンダー側は受注額です。見方は違うもののベンダー目線で考えれば大きな差はありません。
3)品質について
最終的に求めるシステムの品質を決めるのは要求品質、設計品質、製造品質、そして利用・運用品質の4つです。各フェーズにおいて齟齬が生じないように文書化し、確認し、承認をもらいます。皆さんもそうしていらっしゃると思います。

この基準の3つをクリアしなければ、間違いなく失敗ですが、この3つをクリアしたとしても、失敗だと思われるケースはありますが、それ以外に、失敗にはどんなものがあるのですしょうか
・納期に稼働できなかった
・納期には稼働したが追加要件もあり追加費用が掛かってしまった
・テストが不十分でシステム品質になっていなかった
ここまでは基準に照らして明らかに失敗ですが、以下のケースも失敗です。
・ドキュメントの記載が曖昧で齟齬が生まれ、完成した機能がお客様の思いと違った
・稼働後想定しないケースが発覚した
・お客様側のタスクに漏れが有りトラブルが発生した
・マスタや移行データの誤りでトラブルが発生した
など挙げればキリがないかもしれません。

失敗は成功の母
失敗は成長の糧
失敗は学びの源
そして、失敗には必ず理由があります。
また、失敗したプロジェクトにおいては、そのプロジェクトに関わったすべての人に何らかの責任があります。
お客にも、会社にも、そして、自分にも。
「失敗からの学び」は、個人も、企業も、社会も、そして人類も進化の源です。

しかし、その対策としてよく見受けられるのは、
・言った言わない問題が起こらないように書類(議事録や設計書)にはサインしてもらうこと
・ダブルチェックなどによりレビューを強化すること
・リスクを会社が抱えないよう日請負契約から準委任契約にすべき
しかし、この対策で進化するでしょうか。少なくても私は進化しません。
また、プロジェクトとの関わりにおいてメンバーシップに徹した立場を基準にした反省とリーダーシップを目指した反省とでは当然異なります。さたに、プロジェクトと言っても、お客様のプロジェクトを指すのか、自社だけもプロジェクを指すのかでも異なります。

自分の名刺や、顧客への体制図上の役割がコンサルタントとなっている人は、お客様からは「我々に対して何を示してくれるのか」と見られています。こうした役割の人は、お客様のプロジェクトの成否を意識すべき人です。
もし、荷が重ければ名刺も立場もメンバーシップに徹した役割に変えないといけません。(当然、単価も給与も下がるかもしれませんが・・・)

改めて問います。
皆さんの失敗の原因は、どこにありましたか。
失敗の第一の理由が、お客様起因だったとしても、次に活かせる学び(自分のこれからの行動に活かすもの)のことを考えると、お客様起因の原因を、正す力がなかった自分たちの進め方には問題がなかったのか考えて欲しいのです。
・人は起こした失敗は忘れ去りたいもの
・人は起きるかも知れない大きな不安はないことにしたいと思いたいもの
・起きてしまった悲劇は夢だと思いたいもの
です。こうした人の心理を乗り越えて、「自分を進化させるための失敗の理由」や「お客様ファーストでの失敗の理由」を考えてみませんか。

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