仕事をやっていて「仕事が溜まっていてなかなか片付かない」、「部下に仕事を頼んでも納期通りできない」などのお悩みをお持ちの方宛に書きました。

仕事をこなすためには、最低次の2つの条件が必要です。

  1. その仕事をこなす能力(知識や経験)があること
  2. 仕事をこなすだけの時間が確保できること(仕事量<仕事をこなすための持ち時間)

人が仕事をこなせなくなる理由は、次の4つです。

1. その人がこなせる以上に仕事量が多い
1-1 重たい仕事(難しい仕事で試行錯誤が必要な仕事)
1-2 仕事の数が多い(1つ1つは処理できるが数が増え溢れた)

2. その仕事をこなす能力がない
2-1 知識・経験がない(新入社員などのようにその仕事が初心者のため)
2-2 発揮できない(いままで出来ていた仕事がこなせなくなった)

さて、皆さんはどのパターンに当てはまりますか。
理由により対策は異なります。

【2-1 知識・経験がない】場合の対策は明確です。
指導員がついて作業を進めればいいのです。まさか、「なんでも経験だから」と指導員なしに進めたり、「ちゃんと教えてくれない」と甘えたりしていあせんか。ここで難しいのは、相手が考えなくていいくらい教え過ぎるという問題です。指導員としての心得は「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ(山本五十六)」です。
新入社員の場合は想定内ですが、経験があると思って採用したベテランが、想定したほど知識や経験がなかった場合がよく問題になります。この場合の対策は、新入社員同様に指導員をつけるか、期待値に近づくまで我慢するか、チェンジするしかありません。

次は、【1-1 重たい仕事】の場合の対策です。
この仕事は作業環境を手配することです。作業環境の手配とは、十分な時間の確保やサポート体制の確保などです。
ただ、重たい仕事だと最初からわかっている場合はいいのですが、ここでよく問題になるのは、やってみたときに根が深く簡単に持ち上げられない仕事(持ち上げるのに力がいる仕事)だとわかったときです。この場合、当初は簡単に片付くと見積もっていたものが、想定以上に手間が掛かる訳ですから、そのための時間を増やすことしかありません。ただ、このケースの場合はストレスが溜まらず、逆にやり甲斐に繋がる場合が多く見受けられます。

3つ目は【1-2 仕事の数が多い】の場合の対策です。
「あの人は仕事ができるなあ」と思われるタイプの人は、数多い仕事を同時期にこなす人です。逆に、「仕事ができないなあ」と思われる人は、複数の仕事を持ったとたんに仕事ができなくなってしまう人手です。見方を変えれば、数多くの仕事を華麗にこなせばあなたの評価は上がるわけです。以前にも書いたように評価は相対評価なのですから。
仕事の数が増え、仕事が手に付かない状態が長く続くと、メンタル的にはいままで出来ていた仕事、自分では(依頼者も)できると思っていた仕事ができないわけですから、依頼者のあなたに対する評価は当然下がるし、あなた自身も自分はだめだと思ってしまいます。この状態を甘く見て放置していると、メンタルヘスが必要な【2-2 発揮できない】という状況に陥ってしまいます。

こうならないための極意が、毎朝の「作業棚卸」です。
棚卸を始める前に唱える2つの呪文を教えます。

呪文1 誰しも仕事は1つずつしか処理できない!!
人は同時に複数の仕事は処理できません。頭のスイッチを切り替えながら1つずつこなして行くわけです。どんな優秀な人でも頭は1つです、同時に2つ処理することはできないと割り切ることです。したがって、棚卸で重要なのは今日やる仕事を決め、その着手順序を決めることです。

呪文2 とにかく仕事の数を減らそう!
仕事の数が増えこなせなくない仕事の中には、数分で終えるメールの返信なども含まれます。即応できるメールは誰でも返せますが、返信内容を書くのに少し考える必要がある場合は、返せずに溜まります。このケースの特徴は仕掛り仕事が増えることです。いつもなら終わるはずの仕事でも、仕掛りとして溜まっていくのがこの状態です。とにかく、数を減らすことが大切です。数を減らす観点で簡単なものから片付けるとストレスが音を立てて抜けます。

こうした状況下に陥った人に「棚卸をしなさい」と指示すると当然ですが溜まっている仕事の件名や内容を書き出します。そこには納期の記載がありません。それには訳があります。依頼された時点で暗黙納期(即対応や一両日中や今週中など)だったもの、また、納期は示されても納期遅れの仕事になっているものが多いからです。経験上3分の2はこのたぐいです。
こうなってしまうと、棚卸をサポートしながら自身を取り戻させるか、リスケジューリングするか、仕事を引き上げるかしかありません。

こうなる前に、ぜひやって頂きたいのが「毎朝の棚卸」です。
ここで私の技をこっそり教えます。タスク管理は納期管理ではなく着手日管理をお勧めします。
納期管理だとストレスが抜けません。心を楽にするためには着手日管理が大切です。
タスクを洗い出すときに以下のように書きます。
納期管理の場合は「8/25までに漢字ドリルを終わらす」などと付箋に書きます(アナログ管理の場合)。こうして書いた付箋を並べながら、実施する順序に並べ替えます。このときの観点は、重要なものからせずに、すぐ終わるものを最初に持ってきます。その訳は、とにかく件数を減らしすっきりしたいからです。スッキリしたところで、重要なものに着手します。また、逆に今日着手できないものは着手できる日に付箋を貼るのです。明日以降のタスクは着手日まで忘れることもインデックスを減らすのも1つの技です。試してみてください。

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